ハイブリッドセミナー配信代行の原点|東大阪商工会議所で始まった最初のビジネス配信
Teamsでのハイブリッドセミナーを自社だけではうまく実施できない――そんな相談から始まった株式会社トリニティー初のビジネス配信。東大阪商工会議所での実例と、現在の配信運営につながる経験をご紹介します。
株式会社トリニティーが、企業・団体向けのライブ配信を仕事として初めて請け負ったのは、2022年6月8日のことでした。
会場は地元・東大阪商工会議所の大会議室。
一般企業と官公庁系団体、そして東大阪商工会議所が共催する「健康経営優良法人2023認定準備セミナー」で、会場参加者約40名、オンライン視聴者約300名をMicrosoft Teamsでつなぐハイブリッドセミナーでした。
現在では、ハイブリッドセミナーやウェビナー、研修会、株主総会など、さまざまなライブ配信を行っていますが、その原点になったのがこの仕事です。
※この記事に使用している画像は全て実際の現場を写したものです(一部モザイク処理あり)。

「ライブ配信の仕事があれば紹介してください」から始まった
当時、株式会社トリニティーでは、新しい事業としてライブ配信代行を始めようとしていました。
コロナ禍には、休業中の自社店舗から音楽ライブを配信した経験はありました。
しかし、企業や官公庁、各種団体が開催するセミナーを配信する、いわゆる「ビジネス配信」はまだ経験がありませんでした。
それでも、映像や音響、ライブ配信の技術については自信がありました。
そこで私は、地元の東大阪商工会議所へ何度も足を運び、
「新しくライブ配信代行の仕事を始めたので、何か配信に関係する案件があれば紹介してほしい」
とお願いしていました。
すぐに仕事が来たわけではありません。
それでも何度か足を運んでいるうちに、ある相談を紹介してもらいました。
「Teamsを使ったセミナーはできる。でもハイブリッドがうまくいかない」
相談内容は、今振り返っても非常に典型的なハイブリッドセミナーの悩みでした。
クライアントはMicrosoft Teamsを使ったオンラインセミナーそのものは何度も実施していました。
しかし、
「Teamsでのセミナーは何度もやっているが、Teamsを使ったハイブリッドセミナーは、どうやっても自分たちだけではうまくできなかった。対応してくれる業者を探している」
ということでした。
オンラインだけで完結するセミナーと、会場とオンラインを同時に進行するハイブリッドセミナーでは、必要になる仕組みが大きく異なります。
特に問題になっていたのが、
・会場の音声をどうやってオンライン参加者へ届けるか
・会場のプロジェクターに映すスライドを、同時にオンライン配信にも乗せるにはどうすればよいか
という部分でした。
クライアント自身でも何度かチャレンジされたそうですが、うまくいかず、最終的に対応できる業者を探すことになったそうです。
ここが、株式会社トリニティーのビジネス向けライブ配信のスタートになりました。

初めて組んだハイブリッドセミナーの配信システム
当時のシステムは、現在と比較すればかなりシンプルなものでした。
中心に使用したのは、Blackmagic DesignのATEM Mini Extreme ISOです。
会場にはカメラを1台設置。
ATEMからUSB経由のUVC映像として配信用PCへ入力し、Microsoft Teamsからオンライン参加者へ配信しました。

スライドは登壇用PCからHDMIスプリッターで分岐し、一方を会場のプロジェクターへ、もう一方をATEMへ入力。
これによって、会場参加者には通常どおりプロジェクターでスライドを見てもらいながら、オンライン参加者にも同じスライドを届ける構成にしました。
一方、当時の会場では音響設備から配信用の音声を取り出すことができませんでした。
そこで、各登壇者にワイヤレスピンマイクを装着してもらい、会場用とは別に配信用の音声を確保しました。
配信用PCは1台。

現在の株式会社トリニティーの配信システムと比べると非常にシンプルですが、
「会場映像」 「スライド」 「登壇者音声」 「テロップ合成」
を一つの配信として成立させるという、現在のハイブリッド配信にもつながる基本構成は、この時すでに出来上がっていました。
「失敗したら次がない」
もちろん、この時点ではビジネス配信の実績はゼロです。
私自身、
「ここで失敗したら次はない」
と思っていました。
新しい事業の柱にしたいと考えて始めたライブ配信です。
最初の仕事で「やっぱり無理だった」となれば、その先はありません。
ですから、本番を迎えるまではかなり緊張していました。
そして、実際に本番では一つトラブルも起きました。
登壇者の一人に装着していたワイヤレスピンマイクの電源が入っていなかったのです。
臨時スタッフもそれに気付かず、冒頭の挨拶の一部がオンライン配信に乗りませんでした。
幸い、原因はすぐに判明しました。
そのため、登壇者の方に事情を説明し、冒頭部分をもう一度お願いすることで対応することができました。
初めての現場ですから、当然ながら完璧ではありません。
しかし、トラブルが起きた際に原因を特定し、その場でリカバリーすることもライブ配信の仕事の一部だと、この最初の現場から学びました。
終わった瞬間に思ったのは「早く次をやりたい(笑)」
無事にハイブリッドセミナーが終了しました。
普通なら「やっと終わった」と思いそうなところですが、私がその時に思ったのは、
「早く次をやりたい(笑)」
でした。
それだけ手応えがありました。
「これは仕事としてやっていける」
という最初の自信を持てた現場でもあります。
そして実際、この仕事でクライアントから信頼を得ることができ、その後、このセミナーについては毎年ご依頼をいただくようになりました。
最初の1件が、その後の株式会社トリニティーのビジネス配信事業の大きな足掛かりになったのです。
最初の現場は、人にも恵まれていました
もう一つ、この仕事について忘れることのできないことがあります。
当時、映像制作も行っていた知人のバンドマンに協力をお願いし、カメラマンとして現場に入ってもらいました。
また雑務一般については知り合いの女性が快く引き受けてくれました。
私にとって初めてのビジネス配信でしたから、一人ですべてを抱えるのではなく、映像を分かっている人がカメラを担当してくれたことは非常に心強く、現場をうまく回すことができた大きな理由の一つでした。
振り返れば、最初の取っ掛かりから人に恵まれていたと思います。
残念ながら、彼はその後1年も経たないうちに、不慮の事故で亡くなりました。
今では一緒に現場に立つことはできませんが、株式会社トリニティーのビジネス配信の最初の一歩を一緒に作ってくれた人として、今でも感謝しています。
そして現在は信頼できる新しいカメラマンとも出会い、一緒に案件を遂行していっています。
2022年の経験が、現在のハイブリッドセミナー運営につながっている
最初のハイブリッドセミナーから経験を重ね、現在では考え方も大きく変わりました。
特に重要だと考えているのが、
「会場を決めてから配信方法を考えるのではなく、企画段階から配信を考えること」
です。
現在、ハイブリッドセミナーをご相談いただいた際には、有線接続できる高速インターネット回線があることはもちろん、会場の音響卓から配信用の音声を取り出せるかどうかについても、できるだけ会場決定前に確認していただくようご提案しています。
また会場下見と会場レイアウトの確認の際には、必ず弊社も同行して音響やネット回線速度、その他をクライアント様と一緒に確認しています。
不安材料はこの時に発見し、本番まで解決するようにしています。
この条件が整っているだけでも、ハイブリッドセミナーの安定性や音声品質、現場での運営のしやすさは大きく変わります。
機材だけを持ち込めばハイブリッドセミナーができるわけではありません。
会場設備、ネットワーク、映像、音声、スライド(PowerPoint)、配信プラットフォーム、当日の進行までを一つのシステムとして考える必要があります。
これは、最初の仕事から現在まで変わっていない部分です。
Teamsのハイブリッドセミナーが難しいなら、配信部分は丸投げしてください
Microsoft Teamsを使ったオンライン会議やウェビナーには慣れていても、会場を組み合わせたハイブリッドセミナーになると、
・音声をどうすればいいのか分からない
・スライド(PowerPoint)を会場とオンラインの両方に出したい
・カメラやマイクをどう接続すればいいのか分からない
・本番中、誰が配信を操作するのか
といった問題が一気に増えます。
これは、2022年に最初のお客様から相談を受けた時も、現在も基本的には同じです。
株式会社トリニティーでは、ハイブリッドセミナーのご相談をいただいた際、機材を持っていくだけではなく、事前準備から本番まで含めて対応しています。
私がお客様によくお伝えしているのは、
「クライアント様には本来の仕事に集中していただいて、配信については弊社に丸投げしてください」
ということです。
開催日から逆算して必要なスケジュールを組み、確認が必要なタイミングではこちらからリマインドします。
主催者の仕事は「配信機材を操作すること」ではありません。
セミナーの内容、登壇者、参加者への案内など、本来の業務に集中していただく。
そのためにライブ配信の部分を引き受けるのが、私たち配信代行業者の仕事だと考えています。
